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みんなちがってみんないい

みんなちがってみんないい

息子の場合


自閉症と聞いて、すぐにどんな障害か理解できる人は今現在、そう多くはないと思います。

現に私も、息子が自閉症と診断されるまでは、正しい自閉症の知識はほとんどなく、言葉の響きから、性格的に暗いとか、生育過程に問題があるんじゃないのかとかそういった程度の認識しかありませんでした。

でも、息子が自閉症とわかり、勉強していくうちに、自閉症というのは脳の発達障害から起こると考えられていることをはじめて知りました。

人は普通、顔の表情や、動作、声のトーンといったものなどの意味をごく自然に読み取っているわけですが、自閉症の人にはそれらがとても難しく、そういったことが奇妙で不可思議で、暗号のような動作にしか見ることが出来ず、相当の努力をしなければ、そうした意味を読み取ることが出来ないようなのです。

ですから、自閉症という障害を正しく理解していないと、コミュニケーションをとるのがとても難しく、誤解されがちなのだと思います。

息子の場合は、現在、高校2年生なので今はだいぶんおさまってはきつつあるのですが、小さい頃は多動がものすごくひどく、一時としてじっとしていることが出来ませんでした。

こちらから見れば意味も無く(本人にとってはきっと何か意味はあったのでしょうが)常に走り回っていましたし、言葉も小学校に入るまでは全く出ていませんでした。

小学校に入ってから少しずつ単語がしゃべれるようになってきて、今は、単語を並べてなんとか自分の意志を伝えられるようになってきました。

こだわりがとても強く1つのものに執着するとそればかりになって他の事にはなかなか気持ちを移す事が出来ません。
例えば、マンホールにとてもこだわった時期があって道を歩いていて、見つけると開けて中を確認するまでは、決してそこを動こうとはしませんでしたし、水にこだわっていた時期は何時間でも、水を撒き続ける、止めさせようと叱るとパニックになり大声を上げて暴れていました。

自閉症だとわかるまでは、どうしてこのような行動をするのか全くわからず、いくら言い聞かせて躾ようとしても、叱られて頭を下げ謝りはするのですが、またすぐに同じ事の繰り返しで、どうしていいのかわからず、親子共々疲れ果てていました。
今考えてみると、私の顔の表情からは怒っているらしきことはわかる。
だから謝る。でも、どうして怒られているのかが理解できない為にまたすぐに同じ事を繰り返していたのだと思います。

息子が、自閉症ではないかとはじめて言われたのは保健所の1才6ヶ月検診の時でした。

言葉が出ない、多動である、親以外の人と視線が合わないなど上げられたのですが、それまで発育に問題はなく、むしろ成長面では発達が早いほうだったので、こんな短時間に子供を見ただけでどうしてそんな事がわかるのかと腹が立ち、私自身が全く受け入れられませんでした。
その後も保健所の発達クリニックなどに何度も呼ばれそのたびに同じ事を言われ、そのうち保健所には行かなくなりました。

でも、大きくなってくると明らかに他の子達と違うところが出てきはじめ、私自身認めざるをえない状況になった時、はじめて自分から保健所に再び相談に行きました。
そして大学病院を紹介され、受診し、脳波やCTなどあらゆる検査をしました。
結果、行動面なども見られ、「高機能自閉傾向」と診断されました。

でも、いざ診断をされると今度は、「どうして私の子供がそうなんだろう」と、やっぱり受け入れられず、考えては涙が流れ、もんもんとした日々が2年ほど過ぎました。

私がいつまでもそんな状態だったので息子の症状もどんどんひどくなっていっていたように思います。

子供は親の気持ちを敏感に受け止めていたのでしょうね。日々ピリピリしていた私と同じように息子もパニックがひどく手がつけられないほどでしたから。。

そんな時、自閉症専門の療育機関を知り、ワラをもつかむ思いで相談に行きました。

それまでは、どんなに苦しくても、なかなか息子の状態を理解してくれる人になく、一様にみんなから、育て方が悪い、躾がなってないからだと、批判されることばかりでした。

でも、療育施設に通園するようになって、今までの息子のしてきた事、苦しかった事など、泣きながら先輩のお母さん方や先生方に聞いてもらって、「うちも小さい頃はそうだった」「今は大変だけどきっと落ち着くから」など等、言っていただいて、やっと息子の状態が理解してもらえた、私の苦しかった気持ちがわかってもらえたと思うと、一気に肩の力がふぅ~っと抜けていったようでした。

その療育施設では、自閉症についての色々な事を勉強し、どう育てていったら良いかなど教えていただき冷静に息子と向き合えるようになりました。

そうしていくと、今まで無意味に動き回っているかのように見えていた息子の行動が少しずつ見えてきて、こういう行動をとったときはこう対処するといった対処療法が出来るようになり、そうしているうちに息子も随分落ち着いてきたように思います。

世の中には色んな人々がいます。色んな人々がいてこそ世の中が成り立っているのだとも思います。

息子を授かってから、今まで考えてもいなかったような事を考えさせられる事が多々あります。また、息子を通してステキな出会いもたくさんありました。

障害を障害としてではなく、それぞれの個性として受け入れ、認め合い、尊重出来る世の中(心のバリアフリー)になれば良いなと思います。

息子は今はまだ、高校2年生で、これから自閉症の人が最も大変になると言われる思春期に入ってきますが、息子の個性を大切にしながら、一緒に乗り切って行けたらと思っています。






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